ロータリーはこうして誕生した
その人の名は、ポール・ハリス。
20世紀初頭のシカゴは、著しい経済発展の陰で、商業道徳の欠如が目につくようになっていました。ちょうどそのころ、ここに事務所を構えていた青年弁護士ポール・ハリスは、この風潮に堪えかね、友人3人と語らって、お互いに信頼のできる公正な取引をし、仕事上の付き合いがそのまま親友関係にまで発展するような仲間を増やしたい、という趣旨でロータリークラブという会合を考えました。ロータリーとは、集会を各自の事務所持ち回りで順番に開くことから名付けられたものです。
こうして1905年2月23日にシカゴロータリークラブが誕生しました。
世界各地に発足するロータリークラブ
それからは、志を同じくするクラブが次々各地に生まれ、国境を超え今では200以上の国と地域に広がり、クラブ数35,399、会員総数1,207,913人(2016年7月1日RI公式発表)に達しています。そして、これら世界中のクラブの連合体を、国際ロータリー(RI)と称します。
このように、歴史的に見ても、ロータリーとは職業倫理を重んずる実業人、専門職業人の集まりなのです。その組織が地球の隅々にまで拡大するにつれて、ロータリーは世界に目を開いて、幅広い奉仕活動を求められるようになり、現在は多方面にわたって多大の貢献をしています。
日本にロータリークラブができた経緯
三井銀行の重役であった米山梅吉氏が1918年(大正7年)国の財政調査団に加わりアメリカのテキサス州ダラスを訪問した際、三井物産の福島喜三次氏と出会いロータリーを見聞し、その素晴らしい活動に心を動かしました。
日本に帰国してからロータリーを日本に導入する計画を立て、1920年(大正9年)10月20日三井銀行のクラブに24名が出席して創立総会を開き、日本で初めて東京ロータリークラブが誕生した。翌1921年(大正10年)4月1日付けで国際ロータリーより登録番号855をもって承認されました。
沿革|1905年~2019年
1905年 | ロータリー創設 | 弁護士だったポール P. ハリスは、2月23日に米国イリノイ州シカゴで初のロータリー例会を開いた。ハリスは、地元の多種多様な職業人を集めたクラブを思い描いていた。 |
1907年 | 初期の奉仕プロジェクト | シカゴ・ロータリークラブは、街の衛生改善のために公衆トイレ設置のニーズについて市民団体と協議した。 |
1908年 | ロータリー第二の都市 | 11月、サンフランシスコ(米国カリフォルニア州)に二つ目のロータリークラブが設立され、ロータリー第二の都市となった。 |
1910年 | クラブ連合会の設立 | 1910年にシカゴで開催された第1回ロータリー大会に16のロータリークラブの代表者が集まり、全米ロータリークラブ連合会を設立。定款と細則の採択、理事会の選出が行われた。ロータリークラブは、連合会の加盟クラブとして自律性を維持しつつ、中核的価値観を共有することとなった。 |
1911年 | 『The Rotarian』誌 | すべてのクラブに同じメッセージを届け、クラブと会員からのニュースを伝えることを目的に、1911年1月に『The Rotarian』創刊号が発行。誌名は2020年に『Rotary』に変更された。 |
1911年 | ロータリーの標語 | 1911年の大会で、ロータリーの第一標語である「超我の奉仕」(Service Above Self)の初期の文言が採択された。また、第二標語である「最もよく奉仕する者、最も多く報いられる」(One Profits Most Who Serves Best)の初期の文言も採択された。これら二つの標語は、1950年に公式標語として承認された(「He Profits Most Who Serves Best」「Service Above Self」)。 |
1912年 | 国際ロータリーの創設 | ロータリーが「国際ロータリー」に1912年4月、カナダにウィニペグ・ロータリークラブが設立され、ロータリーは国際的組織となった。これを受け、連合会の名が「国際ロータリー連合会」に変更され、1922年には「国際ロータリー」の名称が採択された。 |
1912年 | ヨーロッパに拡大 | 8月にロンドン・ロータリークラブ(英国)が加盟認証され、ロータリーが欧州に拡大。それよりも前にダブリン・ロータリークラブ(アイルランド)が結成されたが、正式に加盟認証されたのは1913年5月。1921年1月にはスペインのマドリードでクラブが加盟認証され、ロータリーの存在はヨーロッパ大陸に広がっていった。 |
1914年 | グレートブリテンとアイルランドのロータリー | 5月、英国内で増えつつあるクラブの連携を図るため、グレートブリテンとアイルランドのロータリークラブが英国ロータリークラブ連合会を設立。1922年には、国際ロータリーとの関係を明らかにするため、名称が「グレートブリテンおよびアイルランドの国際ロータリー(RIBI )」に変更された。 |
1917年 | ロータリー財団 | 「世界でよいことをする」ための基金の設置をアーチ・クランフ会長が提案し、これがロータリー財団の前身となった。最初の寄付は、カンザスシティ・ロータリークラブ(米国)からの26ドル50セントでした。1928年に正式に「ロータリー財団」と命名され、管理委員会が創設された。 |
1919年 | 南米に拡大 | 1919年2月、ウルグアイのモンテビデオでクラブが加盟認証され、ロータリーが南米に拡大。1920年にはアルゼンチンにもロータリークラブが設立された。南米大陸で3番目のクラブは、1923年にブラジルに設立された。 |
1919年 | 第1回国際協議会 | ロータリーは、次期リーダーの年次研修行事である国際協議会の第1回をシカゴで開催。以来、全世界の次期リーダーの交流の機会として、この行事が毎年開催されるようになった。 |
1919年 | アジアに拡大 | 1919年6月にフィリピン、マニラでロータリークラブが加盟認証され、その4カ月後には上海(中国)にもクラブが設立されました。1920年1月には、インドで初のクラブとなるカルカッタ・ロータリークラブが設立されました。 |
1920年 | 日本で初めてのロータリークラブ、東京ロータリークラブが設立 | 日本初のロータリークラブの設立は、二人の日本人ビジネスマン、福島喜三次氏と米山梅吉氏のアメリカでの出会いがきっかけだった。1920年代初め、日本に帰国した福島、そして米山は、他22名の創立会員とともに東京ロータリークラブを設立し、福島がクラブの初代幹事、米山が初代会長となりました。1921年4月1日、日本で第一号となる東京ロータリークラブが加盟認証されることとなる。 |
1921年 | オセアニアとアフリカに拡大 | メルボルン・ロータリークラブが4月に加盟認証され、オーストラリア初のクラブとなった。5月には、ニュージーランドにオークランドとウェリントンの二つのロータリークラブが加盟認証された。7月には南アフリカのヨハネスブルクにクラブが設立され、アフリカ大陸で初のクラブとなった。 |
1921年 | 平和を第一に掲げる | 米国外で開催された初の国際大会となったエジンバラ(スコットランド)国際大会で、RI定款に平和と国際親善の推進が追加された。平和の推進は、1922年のロサンゼルス国際大会(米国)で採択された「ロータリーの目的」にも盛り込まれた。 |
1943年 | 四つのテスト | ロータリーは「四つのテスト」を採択し、世界で最も多く印刷、引用されるビジネスの倫理指針の一つとなった。「四つのテスト」は、シカゴ・ロータリークラブ会員だったハーバート J. テイラーが、1932年に大恐慌で倒産寸前だったアルミニウム会社を建て直すために起草したものである。 |
1945年 | ロータリーと国連 | 国際ロータリーは、サンフランシスコで開催された国連憲章会議で米国代表団の顧問を務めた。この役割のために11名のロータリアンが正式にロータリーを代表したほか、自国の代表や顧問として出席した会員もいた。 |
1947年 | ポール・ハリス逝去 | 長期にわたる闘病の末、ロータリー創設者ハリスが1月に逝去。その後の18カ月間に会員から寄せられた100万ドル以上の寄付は、ロータリー財団奨学金プログラムのために活用された。 |
1947年 | 初の財団プログラム | ロータリー財団は、国際理解を育むことを目的として、大学院留学のための奨学金を提供した。その後も教育での支援は続き、「国際親善奨学金」や「ロータリー奨学金」などさまざまな名称で知られることとなった。 |
1957年 | 寄付者の認証を開始 | ロータリーは1957年、寄付者への感謝の気持ちを示すとともに、財団への継続的な寄付を奨励するために、ポール・ハリス・フェローの認証が創設された。 |
1962年 | 青少年のためのプログラム「インターアクト」 | 最初のインターアクトクラブは、1962年11月5日に米国フロリダ州のメルボルン高校で設立・認定された。インターアクトは、高校生がリーダーシップのスキルを身につける機会となっている。 |
1965年 | 奉仕プロジェクトを支える補助金 | クラブと地区の奉仕プロジェクトのための初の補助金プログラム「マッチング・グラント」が開始された。 |
1965年 | 研究グループ交換(GSE) | 「研究グループ交換(GSE)」プログラムでは、若い専門職業人が互いの国を訪問しあい、異文化を学びながら、職業への洞察を深めることを目的としている。この伝統は、「職業研修チーム(VTT)」を通じて今も引き継がれている。 |
1968年 | 若者を対象とする「ローターアクト」 | 米国ノースカロライナ大学シャーロット校に初のローターアクトクラブが認定された。ローターアクトは大学生と若い職業人を対象とするプログラムとして創設されたが、2019年に再定義され、ロータリーの加盟クラブの一種となった。 |
1971年 | ロータリー青少年指導者養成プログラム(RYLA) | 「ロータリー青少年指導者養成プログラム」(通称「RYLA」)が創設された。以来、高校生や若者がリーダーシップ、コミュニケーション、問題解決などのスキルを磨くための行事や合宿が行われている。 |
1975年 | ロータリー青少年交換 | 1920年代以降、ロータリークラブによる学生の交換が行われるようになり、1975年にクラブと地区が管理する公式プログラムとして「ロータリー青少年交換」が認定された。 |
1978年 | 保健、飢餓追放、人間性尊重(3-H)補助金 | ロータリーは、保健、飢餓追放、人間性尊重と社会発展を目的とした補助金プログラムの創設を発表。ロータリー会員はこの補助金を活用して、安全な水や医療へのアクセス改善、識字率向上、医療の提供といった活動ができるようになり、現在の「グローバル補助金」への道が開かれた。 |
1979年 | 国際ロータリーがポリオ根絶活動を開始 | フィリピンの子どもたちに予防接種する複数年の補助金プロジェクトで、 ロータリーのポリオ根絶の取り組みが開始された。 |
1985年 | ロータリーが「ポリオプラス」を開始 | 「予防接種を通じてポリオを根絶する」というロータリーの決意を支えるため、「ポリオプラス」プログラムが立ち上げられました。ポリオの根絶は現在もロータリーの最優先事項であり、「ポリオプラス」がロータリーとパートナー団体の活動を支援している。 |
1987年 | 女性がロータリーに入会 | 米国最高裁での判決を受け、米国で女性がロータリーに入会。1989年からは、全世界のクラブに女性が入会するようになった。 |
1988年 | 平和フォーラムと平和推進 | ロータリー財団は、試験的プログラムの一環としてエバンストン(米国イリノイ州)で初の平和フォーラムを開催。後にこのプログラムが拡大し、平和に焦点を当てた行事がさまざまな名の下で行われている。 |
1988年 | ポリオ根絶活動のパートナー | ロータリーによるフィリピンでの予防接種活動と国際的なファンドレイジングの成功に触発された世界保健総会は、世界的なポリオ根絶を目標に掲げた。ロータリーは世界ポリオ根絶推進活動(GPEI)の創立メンバー。 |
1999年 | リーダーのエンパワメントを支える平和センター | ロータリー財団管理委員会は、平和および紛争解決の分野における国際問題研究のためのロータリーセンター(現在は「平和センター」)の設立を承認。ロータリー平和フェローの第一期生は、2002年に学業を開始した。 |
2004年 | 寄付者を認証する「アーチ・クランフ・ソサエティ」を創設 | 250,000ドル以上を財団に寄付した個人、夫婦、団体を認証する「アーチ・クランフ・ソサエティ」(AKS)が設立。第1回のAKSディナーは、2005年のシカゴ国際大会にて開かれた。 |
2009年 | ロータリーとUSAIDのパートナーシップ | ロータリーは2009年、米国国際開発庁(USAID)との独自の官民パートナーシップを立ち上げた。ロータリー会員のビジネススキルと地域社会でのリーダーシップ、およびUSAIDの技術的な専門知識と政府との関係を組み合わせることで、水・衛生改善の取り組みが可能となる。 |
2013年 | インパクトに焦点を当てた新しい補助金モデル | ロータリー財団は、地区補助金とグローバル補助金から成る簡略化された補助金モデルを導入し、マッチング・グラント、国際親善奨学金、研究グループ交換プログラムを中止した。 |
2014年 | ポリオ根絶に向けた進展 | かつて、インドはポリオの根絶が最も困難な場所の一つであると考えられていた。2014年、インドで野生型ポリオウイルスによる症例が3年間ゼロだったことから、WHO東南アジア地域がポリオフリーと認定された。ナイジェリアでも、同国北部の治安が理由でそれまで予防接種が行き届いていなかった子どもにワクチンを投与する継続的な取り組みが行われ、3年間症例ゼロを維持することに成功した。WHOアフリカ地域は2020年に野生型ポリオウイルス根絶が認定された。 |
2019年 | 大規模プログラム補助金で大きなイニシアチブを支援 | 財団は2019年、すでに成果を実証しているプログラムに資金を提供する「大規模プログラム補助金」を導入。この補助金の受領者は厳しい審査を経て選ばれ、ロータリー重点分野において大規模なインパクトをもたらすプログラムを長期的に実施するための資金を会員に提供。2021年、初の大規模プログラム補助金の受領者としてマラリアのないザンビアのためのパートナーが選ばれた。 |